週末はWan・Can・Run!

イギリスのパブ・ビールにはまって本まで出してしまったが、娘が生まれてからは、飲みに行くとツマの冷たい視線が来るようになり・・・娘がパパから離れていく頃、念願のワンを迎えて、リュックに缶ビールを忍ばせて週末あちこち散歩の日々。イギリスを始めとするパブ情報のWebページはhttp://terryspub.nobody.jp/に引っ越し、休眠中。イギリスでのパブ旅については、こっちのほうに仮にアップしています。https://terryspub2009uk.hatenablog.com

奥田英朗は長編も面白い!

イン・ザ・プール」「空中ブランコ」などの短編が大好きで、つい先日も「我が家の問題」を楽しんだところ。

今回この作家の長編を読むのは初めてだったが、長編も別の魅力があることが分かった。東京オリンピックが舞台の、犯罪小説だが、犯人側と逮捕側をはじめ、さまざまな視点でストーリーが語られる手法はもちろん、東京オリンピックという題材そのものを、きちんと描いている緻密さがすごいと思った。東京オリンピックはこの作家が5歳のときの出来事なので、当然この小説はかなりの取材の上に成り立っているのだが、当時の都電の光景とか金銭感覚が、まるでリアルタイムのドラマを見ているようで、全然「作り物」感を与えない。ぐいぐい当時の熱狂していた時代に引き込まれてしまった。今ある日本武道館、代々木競技場などが当時どんな思いのなかで作られ、高度成長や日本の国際舞台再登場の象徴だったのかを再認識した。読み始めた当初は、500ページ以上で2段組っていう、普段はあまり読まない長編だったし、なんか野暮ったい設定だな、なんて思ったが、途中から、読むペースがどんどん早くなっていった。

ノンフィクションのような楽しみ方もできるし、ストーリーも手法も面白く、この作家の守備範囲の広さを実感しました。

オリンピックの身代金

オリンピックの身代金