4:00 起床
パチリ。目が覚める。夜中に一度トイレで起きたものの、睡眠導入剤のおかげで、スムーズに寝られた。いつもどおりの時間なので、頭もすっきり。昨日以上に体調はいい!
5:00 ご来光
東だけでなく、360度全部の空が明るくなってきて、東方向、ちょうど山中湖の向こう側からのご来光。ああ、今日は絶対にいい日になる。
5:30 出発
さて、身支度を整えて、東洋館を出発。我々は連泊なので、不要なものを自室に置いておけたのがすごくよかった。僕はゴミ、昨日の服、多すぎた行動食、室内用スリッパ、などを置いていった。重さにすると1~2kgだろうが、それだけでも、昨日と背中の重みが全然違う!
しかし、Oさんは、というと、、、「全然寝られなかったです。ほぼ一睡もしていない」と心配そうな顔。僕は睡眠導入剤を使った話をすると「僕も持ってきたんですけど、高山で使うと高山病が悪化するかもしれないと聞いて、躊躇しちゃんたんですよね」
・・・!!!
調べると、確かに睡眠薬や睡眠導入剤を気圧の低いところで使うと、呼吸が抑制されて、動脈を流れる血液中の酸素が不足して、高山病が悪化する可能性があるらしい。今の僕は何ともなく、昨日の頭痛もウソのようになくなっている。よかった。僕の場合は、むしろ寝たことで高地順応がうまく進んだようだ。
それにしても、このことを知っていたら、僕は昨日睡眠導入剤を飲んだだろうか、、、でも、そんなことを考える暇はなく、「大丈夫ですよ、一緒に頂上行きましょう。」昨日Oさんが言っていたことと同じことを、今度は僕がOさんに言う番だった。
昨日も見てきた下界の景色だが、ここでも何度も振り返って見てしまう。右に八ヶ岳、左に河口湖が見える。八ヶ岳はやたら馴染みが深い場所で、山麓に東京都文京区の施設があり、小、中と学校行事として泊まりに行ったり、大学生では出身中学の行事の補助として参加したり、家族を持ってからは、府中市の施設があるのでそこに泊まりに行ったり。山麓から見るとあんなに雄大な八ヶ岳連峰が、あんなに小さい。
河口湖畔には昨年9月家族で泊まったが、まったく晴れず、富士山を拝めなかった。今度また、あそこに泊まりに行くぞ!
朝食後、Oさんの様子がおかしい。消化で血液が胃に集中し、脳にあまり回っていないのかも、と携帯酸素を吸い始めた。「俺、たぶん途中で脱落します。すいません、足引っ張って」などと言い始めたので、「何言っているんですか! ほら、さっきの看板にあと2kmてあったじゃないですか。頂上はすぐですよ。絶対大丈夫ですよ」
Oさんはまだ40代だし、自転車が趣味で、普段から相当長いツーリングに行っているだけあって、体力・筋力はあった。僕は、昨日からずっと、Oさんと一緒にお鉢めぐりができることを確信していた。
8:30 本八合目(出発して3時間後)
さて、ひたすらストック使って岩場を登り、3時間してようやく「本八合目」に。ここから山頂までは、さらにきつい岩場を2時間登る。まさに「胸突き八丁」だ。
前も書いた通り、ツアー客のHさんは、前回この本八合目までしか上がれなかった。「Hさん、ここからは前回越えですね!」と皆の士気も上がる。
近藤さんは、「ここから山頂まではさらに空気も薄くなってきます。特に山頂付近は、本来1時間以上はいてはいけない、いわば『デス・ゾーン』です。いままで高山病発症していなかった人も発症したりします。」
これを聞いたOさんの顔色が変わる。「やっぱり、俺、ダメかもしれないです」
僕は、今までの、どの練習登山でも、この「頂上前のあと10分」くらいの時が好きだった。一番疲れてはいるけれど、山頂のためなら、足が前に進む。
しかも、今回は、体調、天気、ペース、メンバー、すべてがいいので、この胸突き八丁が、つらいけど、今までの練習登山よりも全然楽しかった。そして、ついに、、、
10:20 吉田口山頂
8人全員が無事に吉田ルートの山頂に!
山頂広場には100人以上の人がひしめき合っているが、高尾山よりは混雑していないと思う。ご来光の瞬間はもっと込み合っているのかもしれないが、少なくとも、僕はこの2泊3日で、富士山が「激込みで困った」と感じたことはない。これも、他の人とはピークをずらしたこのツアーならではだ。
ここで、近藤さん「それでは、ここからお鉢めぐりに行く方に申し出をしてもらいます。行かない人は山頂で食事などで待機していてください。ただし山頂にいられる時間は短いのでお鉢めぐりはハイペースになります。これからまた東洋館まで3時間かけて下ることを考えて、ここまで鼻歌まじりで来られたと思う人だけ参加してください。さあ、あと、2分位で結論出してくださいね。」
え? 山頂でカップラーメン食べられないんだ? そのつもりだった僕は、少しだけ、お鉢めぐり行かずに、残って腹ごしらえして、山頂でのんびり火口でも見て・・・と考えた。Oさんもお鉢めぐり行くかどうかわからないし。
、、、そして、近藤さんに申告する時間となった。