週末はWan・Can・Run!

イギリスのパブ・ビールにはまって本まで出してしまったが、娘が生まれてからは、飲みに行くとツマの冷たい視線が来るようになり・・・娘がパパから離れていく頃、念願のワンを迎えて、リュックに缶ビールを忍ばせて週末あちこち散歩の日々。イギリスを始めとするパブ情報のWebページはhttp://terryspub.nobody.jp/に引っ越し、休眠中。イギリスでのパブ旅については、こっちのほうに仮にアップしています。https://terryspub2009uk.hatenablog.com

カズオ・イシグロ卒業

日本生まれイギリス育ちの作家ということでずっと気になっていて、やっと去年に代表作「日の名残り」を読んでから、断続的に他のも読んでいって、こないだやっとひととおり読み終えた。今言える事は、個性的な作家だが、自分には合わない、っていうこと。
個性的というのは、
(1)回想シーンで主に構成され、語り手が「わたし」
(2)日本を含め、世界各国を舞台にするが、なぜか日本を舞台にした箇所は、日本の素朴な原風景を描いていて、近代日本文学のような素朴な文体。彼はすべて英語で書いているので、翻訳者がうまいのだとも言えるが、やはり5歳まで日本(長崎)で過ごしたことと関係はあるだろう。
(3)自己分析・回顧など、独白が多い。トルストイ風。逆に言えば、ストーリー性とは対極にある。
っていうこと。これらを評価する人もいるし、この手法を愉しめる人もいるだろう。でも、自分には合わないので、もうイシグロは卒業しようと思います。
僕は、やっぱりストーリー性があり、読後に何らかのカタルシスが欲しいんです。それを求めて読書しているので。

以下、作品名、原題、発表年と一口メモを。
1 遠い山なみの光 A Pale View of Hills (1982年) 日本語版の初翻訳時の題名は『女たちの遠い夏』)
→日本の原風景を切り取ったような描写は楽しめたが、オチは?

2 浮世の画家 An Artist of the Floating World (1986年)
→1 に加え、日本の戦後という社会背景も絡んできたが、回想という手法なので、全貌が分かりづらかった。

3 日の名残り The Remains of the Day (1989年)
→老執事が過去を回想しながら、やはり執事の女性に会いに行くのだが、旅路のイギリス風景描写を楽しめただけ。

4 充たされざる者 The Unconsoled (1995年)
→ラストは何だろうと、話にぐいぐい引き込まれて・・・裏切られる。読んだ時間を返せ! 何も起こらない。

5 わたしたちが孤児だったころ When We Were Orphans (2000年)
→戦中、戦後の上海の租界を舞台にしていて、設定自体には魅かれたが、それも前半のみ。

6 わたしを離さないで Never Let Me Go (2005年)
→臓器移植の未来を描く、まさかの展開。けっこう楽しめた。

7 夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 Nocturnes (2009年)
→これが一番よかったかな。イシグロ世界は短編に向いているということか?

うーん、万人に勧めるとしたら、6,7くらいかな。

参考(Wiki)↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%BA%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%82%B0%E3%83%AD

次は、この反動で石田衣良にいっちゃっています。