週末はWan・Can・Run!

イギリスのパブ・ビールにはまって本まで出してしまったが、娘が生まれてからは、飲みに行くとツマの冷たい視線が来るようになり・・・娘がパパから離れていく頃、念願のワンを迎えて、リュックに缶ビールを忍ばせて週末あちこち散歩の日々。イギリスを始めとするパブ情報のWebページはhttp://terryspub.nobody.jp/に引っ越し、休眠中。イギリスでのパブ旅については、こっちのほうに仮にアップしています。https://terryspub2009uk.hatenablog.com

CELTのEXPERIENCE

ウェールズ産のエールが入ってくるので、その試飲会に招かれて行った。平日だったが、ちょうど会社を休みにしていた。

実はウェールズのブリュワリーはまったく知らなかった。コーンウォールSharp'sとかLewisのHarveysをはじめ、南には、小規模ブリュワリーの割には、ロンドン他各地で飲める有名ブランドを作るブリュワリーが多い。しかし、西のウェールズになると、はっきり言って地味なイメージしかなかった。まぁ、小規模のブリュワリーが、地元向けに細々と永年愛される銘柄を作っている・・・一言で言えば、保守的なイメージだった。

THE CELT EXPERIENCE社は、cearphilly(ケアフィリー)という、ウェールズの首都カーディフの北20キロほどのところにある小さなブリュワリーだ。ケルト人を祖先に持つ創設者・Tom Newmanは、水工学のエンジニアから独立して、ブルワリーを設立。科学的な知識と経験を最大限に活かし、独自製法を研究開発した、オーガニックのプレミアム・エール、っていううたい文句だ。
http://www.jute.co.jp/beer/celt/

どれどれ、さっそく飲んでみよう。会場は満員で、押し合いへしあいしながら、4種類をテイスティングした。ブリュワリーからの指示だろう、飲む順序が決められていた。以下、青字が上記ホームページに載っている紹介文。その後が僕の勝手な感想。

1 GOLDEN ALE(4.2%)高温ですり潰した麦芽と相性の良いクリスタル・モルトを少量加えて醸造し、全てのエールを知り尽くした匠の技で、ボディのうまみを最高値まで引き出しました。香り高いファーストゴールド・ホップとカスケード・ホップの繊細なブレンドにより、レモンやライムの香りと、品格さえ感じられる角のない苦味が飲む人の心を魅了します。
→夏のエールを目指した、とのことだが、確かにモルト、ホップ両方良く効いていて、カーボネーションも高く、飲みやすい。今日みたいな夏の日でもごくごくいける感じがある。名前は、ケルト人がヨーロッパを支配していたGolden Age にちなんでいるとのこと。
モルト★★★ ホップ★★★ 総合★★
※勝手な★印の意味
モルトモルトのパンチが効いているか、ボディがあるか。
ホップ=ホップが好ましく利いているか。
総合=アロマ、フィニッシュなどもろもろを含んだトータル
僕のテイスティングノートはいつもこんな大雑把な感じです。

2 BRONZE ALE(4.5%)  ウエールズ南部・国立公園の大自然から湧き出る天然水と、オーガニック原材料から作られています。優美でスパイシーなアロマとクリスタル・カラメル・モルトのフレーバーが調和した作品です。クリスタル・ホップとゴールディングス・ホップのブレンドを、絶妙な投入タイミングで施す事で渋みを抑えたピュアなアロマが溶け込み、このビールに命を吹き込んでいます。
→紹介文の意味はなんだかよく分かりませんが、カーボネーションは低く、一見するとフラットなリアルエール。確かにナッツ臭のようなスパイシーさがある。僕はこのフレーバーを木樽のようだと思った。何杯か飲んでいるとこの独特のやさしいスパイシーがくせになり、結局、今日のイチオシビールはこれだった。名前は、ケルト青銅器時代からつけたとのこと。各銘柄にはそれぞれケルトの由来があるという。
モルト★★★ ホップ★★ 総合★★★

ボトルのデザインの基調はみな同じ。気に入ったので、この銘柄だけ撮った。

3 BLEDDYN1075(5.6%)
 ピュアなペールエールモルトを使用したストロング・ペール・エールです。麦汁の濾過を細心なケアで行う事により、チノック・ホップとの理想的なバランスがとれました。グレープフルーツやシトラスのような、美しすぎるアロマを生み出しています。
→現地のドラフトではもう少し高い度数で作っていると言っていた。そっちも飲んで見たい。1のGoldenよりはキャラがややおとなしめで、ただ度数が高いだけのシロモノになってしまっているかも。発酵後の甘みも計算して残しているとのことだったが、それもあまり感じられなかった。個人的にはストロングエールはもう少し濃いモルトを使ったほうがいいと思う。
モルト★★★ ホップ★★★ 総合★★

4 Quality Lager(5.0%)
 丹念に時間をかけてすり潰したモルトにコンチネンタル・ホップを加え、ピルスナーイーストで下面発酵させたさわやかでスパイシーな本格的長期熟成プレミアム・ラガーです。出荷直前まで0度貯蔵し英国の美しい大麦カラーを奏でてくれるクリアな瓶にボトリングしています。
→ゲゲッ、通な消費者は敬遠しがちな透明ボトルだ。聞くと、このラガーは、透明ボトルに入れることを前提に開発されたらしい。ホップが日光臭の影響を受けないよう「ある処理」をしているとのこと。その肝心なところは企業秘密なのか聞けなかったが、確かにそのような工夫は感じられる。ただし、オフフレーバーがゼロだったとは言えない。空輸状態に細心の注意を払い、コロナのようにライムを入れるなど、何かスタイリッシュな演出を考えれば、イギリスのラガーにしては目新しい路線ということになる。
モルト★★ ホップ★★ 総合★

飲みながら、創設者の説明も聞く。

ホップは国内産の20〜30種類、海外産を50〜60種類くらい使っているとのこと。
国内では主にウェールズ内が中心だそうだ。CAMRAの人の意見も聞きながらレシピなどを調整するそうだ。

総じて、前評判があまりよくなかった割には、このブリュワリーのプレミアム志向は気に入った。特に水と原料にこだわっていることが良く分かり、それがビールの味にストレートに反映されている。創設者から直接話を聞けたことも大きいと思う。今日はワイングラスだったが、パイントグラスでぐいぐいいくと、また印象も変わると思うが、今日の中ではやはり2のBronzeが、ちびちびずっと飲めそうで、気に入った。これのドラフト、飲んでみたいなーなんて思いながら、会場にいた別のインポーターさんと話していたら、なんとケグの取り扱いを予定しているという。しかも銘柄はBronzeだそうだ! やはり彼も、ケグで飲むのはBronzeだと思ったそうだ。

今回思ったのは、ビールは無難にまとまっている味よりも、何か特徴やクセがあるほうが、結局は選ばれるのではないか、ということだ。

あとのネックは値段ですね。希望小売価格がエールはそれぞれ500mlで980円、ラガーは330mlで488円。初めて買うのは少し勇気のいる値段。ドラフトはいくらで提供されるのか分からないが、まずはドラフトを店で飲んだ人が、ボトルで他の銘柄も・・・というパターンが多くなるのかもしれない。

終了後は、Kさん夫妻と神保町のユーロスターカフェでおいしいビールと自家製パンを堪能。

久しぶりの、ビールな一日でした。